中学生・高校生の税の作文
 
協会長賞受賞作品披露

「未来へと繋がる義務」
紀の川市立 貴志川中学校 三年
中西 絢音

 税金は、学校教育やインフラ整備、警察などの公共機関の運営に必要不可欠だ。また、近年では世界情勢の悪化から、防衛費に対しての予算増額の話題が熱を帯びているが、国民の生命を守るためのこの予算も税金から算出されている。このように、税金は日本社会全体の発展と安全保障のための資金源となっているのである。

 しかしながら、こういった税の情報は、教科書や時事のニュースなどから簡単に得ることができるが、実際のところ、私個人としては税金というお金の仕組みについて、正直あまり把握できていない。テキストを読んで理解したり暗記するなどの学習レベルでは可能だが、それをイメージしたり体感するのが難しいのだ。何より、「税」という言葉の響きが、大人が処理すべき領分のような気がするし、なんとなく学生には近寄り難い雰囲気を感じてしまうのは私だけではないだろう。

 では、なぜ税の仕組みとは難しく感じるのかについて考えたい。

 まず、冒頭書いたように、税金は日本社会の運営のために必要な資金だ。だから、単純に税収が多ければ多いほど、国民が良いサービスを受けることができる。であるなら、税金徴収のための入り口が多いのは合理的だと思うし、難しく感じてしまうほどに仕組みが細分化されているのも納得できる。過程は複雑でも、結果的に国民のために役立つ仕組みはある程度備わっているのだ。

 次に、個人の税金に対する意識である。

 私は親に小遣いをもらっている。そして、頻繁ではないが、小遣いの使い道について親に聞かれることがある。別に悪い使い道ではないと思うが、ゲームに課金した月などは、少し気まずい気持ちになり、「参考書に使ったよ」と必要のない嘘をついてしまうこともある。なんとなく、学生らしいことに小遣いを使わないと、親に申し訳ないような罪悪感があるのだ。親にしてみれば、預けたお金の使い道が気になっただけで、ゲームに課金したことについて怒ることはないと思う。重要なのは、お金の使い道が気になったという点だ。つまり、税金も同じで、まずは関心を持つということが、複雑な仕組みを明瞭化する初手になるような気がしてならない。

 インターネットで調べてみると、税金の使われ方に対する意見は実に様々だ。ただ、総じて言えるのは、多くの人が税金の使い道にそれだけ関心があるということである。興味を持つことで学びが生じ、それに関する理解を生む。税金の仕組みを明らかにするのは、なにも国だけが背負う義務ではないのだ。

 私たち中学生も、買い物の際に消費税という税金を納めている。納税に関わっている以上、年齢を問わず、税金について学習する義務があるように私は思う。それは自分のために、そして私たちの未来のために。


「暮らしの中にある税について」
和歌山県立 伊都中央高等学校 一年
湯川 悠菜

 税に関する作文を書くにあたり、身近な税について学びなおすことにしました。

 まず暮らしの中にはどんな税があるか考えてみると、消費税や酒税・たばこ税などが浮かびました。これらの税は、国税・地方税に分類されている。地方税はさらに道府県税と市町村税に分類され、これらは「どこに納めるか」が分類方法となっている。また「何に対して課税するか」による分類には、所得課税・消費課税・資産課税がある。「納め方」による分類には、直接税・間接税がある。

 もっと暮らしの中にある税はないか考えてみました。身の周りには、国や都道府県、市(区)町村による「公共サービス」や「公共施設」がある。公共施設とは、公立学校や公園、道路など、誰もが利用できる施設のことで、公共サービスとは、ゴミの収集や処理、警察や消防など、生活に欠くことができないもので、民間の経済活動では生み出せないサービスのこと。ゴミは指定のゴミ袋に入れて所定の日に出せば、ゴミ収集車が無料で持っていってくれたり、警察に安全を守ってもらうのに手数料は払わないなど、なぜ無料で公共サービスを受けたり、公共施設が利用できるのかというと、公共財でまかなわれているからで、公共サービスはすべての国民に必要不可欠なものであるから、政府や地方自治体が、税の徴収という形で、その公共財の供給費用を一括して徴収している。これが国防料金、警察料金、消防料金が存在しない理由である。暮らしの中にある税を学びなおすことができた。

 しかし税金ってなんだろう?なぜ必要なのだろう?と考えてみると、「税」は公共サービスの対価であること。国や地方は「公共サービス」を提供するための費用を「税」という形で調達していること。「公共サービス」を受け取るのに一円も支払っていないので無料のようであるが、みんなで負担した税で「公共サービス」が提供されていることから、必要であることが理解できる。また「納税の義務」が憲法で定められている。

 日本では、税は公共サービスの対価。自らの代表が、国の支出の在り方を決めることと、自らが国を支える税金を負担しなければならないことは表裏一体。税の使い道に関心を持つことも納税者として重要であるとされており、豊かで安心して暮らせる未来のためには、公平な租税負担と給付の関係について、私たち一人ひとりが考えることが大切であると思います。

 日本はこのようにしっかりとした仕組みがあるが、アメリカでは税金を納めるということはないが、救急車を呼ぶにも料金が発生するため、呼ばない人が多く大変になるケースが多いと知り、日本の納税などの仕組みをきちんと理解しこれからも豊かで安心して暮らせる日本であるよう、時には立ち止まって考えたいと思います。