中学生・高校生の税の作文
 
協会会長賞作品披露

「よりよいまちづくりへ」
高野町立 高野山中学校 三年
宮崎 栞奈

私の住んでいる町では、町に入る観光客から入山料をとる「入山税」を導入するということが発表された。私は、和歌山県高野町の高野山というところに住んでいる。高野山は二〇○四年に世界遺産に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として登録された。そのこともあってか、普段から観光客の方がたくさんこの町に訪れている。さらに、私が生まれてからピーク、つまり、紅葉シーズンの十月下旬から十一月くらいの時期には、車も人も目が回るくらいたくさんの観光客がこの町に訪れている。

私が「入山税」を高野山で導入するという話をはじめに聞いたとき、観光客の人が高野山に入るだけでお金を取るというのは、この町を特別化しているようで少し嫌だなと思った。けれどもいろいろ調べていくうちにやはり「入山税」は必要だと思うようになっていった。

まず、高野山が「入山税」の導入を発表した理由はオーバーツーリズム対策のためだそうだ。オーバーツーリズムとは観光客が観光地に過度に集中することで環境や地域に悪影響を及ぼす現象のことで、この状態が高野山で続けば、高野山にさまざまな悪影響が及ぶということだ。確かに町中にゴミが落ちていたり、整備がままなっていなかったりと、よくない面をたまにみかける。こういうところが「入山税」を導入することによって改善されるのであれば、そちらの方がいいと思った。高野山を訪れる観光客は、高野町全体の人口の約五百倍になる。やはり、よりよい町をつくったり保ったりするためには、「入山税」を導入するべきなのだと思った。

日本内でも観光地に訪れるときにかかる税金が導入されていたり、導入が検討されているところがいくつかある。観光地をよりよく残していくために他の都道府県でもいろいろと考えられている。

これらを踏まえて、「入山税」がこの町をよりよくしていってくれると願っている。けれども、「入山税」以外にもよりよいまちづくりをすることはできると思う。それには一人一人にできることもあると思う。それを一人一人がよく考えて、町の負担、町民の負担、観光客の負担、いろいろなものを減らしていくことが大事なのだと思う。いろいろな力がいろいろな所で働いてよりよい町になっていってほしい。だから、自分もこの町の歴史や文化を守っていく方法をこれから考えてみようと思う。


「税金で守られる安心、そして守る側へ。」
和歌山県立 粉河高等学校 二年
森田 有音

私の夢は警察官になることだ。小学生の時にテレビで見たり、学校の近くで交通整理をしている姿を見たりして「かっこいいな」と思っていた。そして、困っている人を助けたり町の安全を守ったりできる存在に、小さい頃から憧れている。けれど最近、改めて気づいたことがある。警察官が働けるのも、制服、パトカー、交番などの建物があるのも、全部「税金」で成り立っているということだ。もし、税金がなかったら、パトカーのガソリン代も払えないし、防犯カメラだって設置できない。安心して暮らせている裏側では、たくさんの人が納めている税金があるのだ。

普段の生活を考えてみても、税金は身近にある。学校のエアコンや教科書の補助、図書館や公園の整備。私たちはその恩恵を自然に受けている。だから、税金と聞くと、「取られるお金」というより「みんなで社会を守るための会費」なんだと思うようになった。実際に、私がバイトをしてた時、初めて給料から税金が引かれているのを見て、「なんでこんなに少ないんやろ」と正直思った。でも、もし、自分が警察官になったとき、そのお金で、パトカーが走ったり、防犯カメラなどが設置されると不思議と納得できる。税金は誰かのために消えてしまうのではなく、社会を支えるために生きて使われているのだ。

将来、警察官になれば、私は、「税金で働く人」になる。だからこそ、一人ひとりが納めてくれたお金を無駄にしないように、責任をもって働きたいと思う。そして安心して暮らせる町を守ることで「税金を払ってよかった」と感じてもらえるような存在になりたい。

最近、ニュースで交通事故や事件の報道を見るたびに、警察官の仕事の大切さを改めて感じる。事件や事故は、たった一瞬で日常を壊してしまう。だから、私も将来は日々の見回りや注意喚起を通して、町の人々が安心して暮らせる環境を守りたい。そして、その活動が、税金で支えられていることを忘れずにいたい。さらに、ボランティアや、地域活動で町を歩くと、見慣れた道の安全がどれだけ守られているかを実感する。夜間に街灯がきちんと点いているだけで安心して帰宅できるし、事故やトラブルを未然に防ぐための設備やパトロールも税金によって支えられているということに気づく。

税金は、ただの数字や義務ではなく、私の夢や社会の未来につながっている。警察官を目指す今の私にとって税金は、「守られる安心」であり、同時に、「将来、自分が守るもの」でもあるのだ。だからこそ、今からその大切さを知り、自分も責任をもって行動していきたいと思う。